08高山都

誰かと喜びをわかちあうための、しなやかさを

「大人の女性」という言葉には、一人ひとりの確かなスタイルが見え隠れしている。それはただ強く、あるいは美しいこととは違う。自分の芯を胸に据えた足取りは、少女のように弾むときだってあるのだ。ラジオパーソナリティや女優、モデルと幅広く活躍する高山都さんも、そんな道を歩む一人。数々のフルマラソンを走破し、いまやひとつのランニングアイコンともなりつつある彼女に、近頃の「走ること」を聞いた。

――最近は、どんなふうに走っていますか。

今度、プライベートのお友達グループとフルマラソンに出るんです。(取材時確認)今までは仕事での出場が多かったんですが、今年はこれまで通ってこなかった“ファンラン”をやってみようかなと思って。仕事で走るときは、やっぱり記録を気にしてしまうんですよね。だから景色を楽しんだり、沿道のエイドを食べたりする余裕もないし……目標を達成できなかったときには「だめだった」って気持ちが生まれちゃう。でも、次のフルマラソンではそういう気持ちを忘れて、初めてゆるーく走ってみようかなと思ってるんです。ファンランには「だめだった」なんてないし、きっと、新たなランニングの楽しみが見えてくるんじゃないかなって。ストイックに走るのも、仲間とゆるく走るのも、どっちも楽しいってことを自分が知っていれば、ランニングの良さを伝えていくときにも視点が変わりそうですよね。

――自分だけで黙々と走るフェーズを抜け、「ランの楽しみを発信する」ということを意識し始めたきっかけは?

2015年は何度かランニングイベントに参加させてもらって、初めて走る人たちとコミュニケーションすることが多かったんです。もともと走れる人はいくらでも調節できるから、全員が楽しむには、初心者の目線に合わせることが大事。初めての人はきっとすごく不安だから、その心配を取り除いて、最後には「気持ちよかった」とか「また走りたい」って思ってほしかったんですよね。ガチすぎると、経験者と初心者が仲良くなる機会は生まれづらいじゃないですか。でも、みんなで走る時間を共有できるってすごく素敵だし、ランの楽しみを知ってもらえるのもうれしかったから……もちろんこれからも記録を狙う気持ちは残っているけれど、ひとまずファンランも体験してみたいなと思ったんです。

――人との交流を通じて、自分のなかにも変化が生まれたんですね。

そうですね、本当に変化が多かったです。レギュラーで出演しているラジオでもランニングのコーナーが始まって、伝える立場に立つ機会が増えたから、自分のランへの取り組み方も変わってきたんだと思います。それは自分の生き方にも影響していて……20代のときみたいにストイックにやるばかりじゃなく、しなやかにいきたい。ちゃんと芯があるからブレないけれど、どんな方向にも柔軟にしなれる、ほどよく力が抜けた女性になりたいと思うんです。そう考えるようになってから、いろんなことがすごく楽になったし、自分らしさも見えてきました。もちろん、仕事や音楽、ランニングみたいにこれまで力を入れて向き合ってきたものたちが、いま自分のベースになっているのも感じます。

――これからは自分と、ランと、どんなふうに向き合っていきたいですか。

とにかく間口を広げていきたいなと思っています。人生は長いし、ランニングって“生涯スポーツ”じゃないですか。根を詰めてやりすぎると、体型が変わったり、妊娠したりすると「走れなくなった」と思ってしまうかもしれないけど、せっかく長い目で向き合っていけるスポーツなんだから、いつでも楽しめるものにしておきたい。周りでも、年齢やライフステージが変わったとき、ふとやってみたくなる人がいるかもしれないですよね。そんなときに、ランの良さを伝えられる存在でいたいと思っています。ちゃんと走れるから説得力はあるけれど、柔軟に取り組んでいるからこそどんな人のきっかけにもなれる……たとえば専門誌でも、美容誌でもランの話ができるような存在。興味はあるけどなかなか一歩が踏み出せないひとに、楽しく走るための、いろんなランとの向き合い方を発信していきたいんです。

Photo:Imai Takashi/Text:Sakura Sugawara

PROFILE

高山都

モデル・女優。舞台、ドラマ、映画、ラジオなど、多岐にわたって活躍している。これまで数々のマラソン大会に出場しており、名古屋ウィメンズマラソンを3時間42分で完走した経験を持つ。